日本区域麻酔検定試験(Japanese Regional Anesthesia Certificate Examination : J-RACE)受験記

区域麻酔の検定試験J-RACEについて、増田祐也先生にお聞きしました。

2022年4月に、沖縄で日本区域麻酔学会に引き続いて行われたJ-RACEを受験してきました。J-RACEは今回で3回目とまだ歴史は浅いのですが、新たなサブスペシャリティとして、区域麻酔学会が主導する認定試験として位置付けられています。学会が定める認定医資格を満たし、かつ試験に合格すると指導医を取得することができます。
私自身、主に手術室での麻酔管理に携わる身として区域麻酔は強い味方であると考えており、大学や関連病院でも様々な区域麻酔を経験してまいりました。ここ数年では、慶應病院でMICS(低侵襲心臓手術)の周術期管理のために、胸部傍脊椎ブロックを導入するなど活動してまいりました。

一方、体系的な勉強はあまりしたことがなく、断片的な知識を補完する目的で、遅まきながら受験を決意いたしました。勉強の過程で解剖学や薬理学の大切さは感じましたが、これらは試験というモチベーションがなければなかなか取りかかれない領域だと思います。苦労した分は単に知識の整理だけに終わらず、必ず臨床でも役に立ちます。J-RACEの出題範囲は基礎から臨床まで幅広く、試験に準拠した教科書を一通り眺めるのにも苦労しました。業務の忙しさを言い訳にあまり勉強時間を取れず、なんとか合格することができましたが、本当にギリギリでした(合格最低点、順位、受験者数などが公表され大体の位置が分かってしまう)。ゆえに、合格の秘訣など披露する立場にないのですが、試験前日に学術集会で行われる直前講習は必ず受講することをおすすめします。

末梢神経ブロックの発展に欠かせないのがエコーですが、麻酔科領域の「エコーで試験」といえばやはりJB-POTですね。学会活動や試験勉強を通じて周術期管理に習熟することで、心臓手術における麻酔科医の存在はより大きなものになっています。区域麻酔学会が認定医・指導医制度を設けた目的も、豊富な経験と知識を備えた麻酔科医が、責任を持って区域麻酔にあたるためです。今後、多くの人が区域麻酔に関心を持ち、J-RACE受験や学会参加を通じてその地位が発展していくことを目指し、一麻酔科医として研鑚を続けて行こうと思います。

このページをご覧になっている区域麻酔に興味があるあなた、一緒に慶應で魅力を追求しませんか?

助教 増田 祐也

日本区域麻酔検定試験合格証

末梢神経ブロック指導のようす

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